日本語には、見た目だけではなかなか読み方が思い浮かばない漢字が数多く存在します。その中でも「足へんに重(踵)」という漢字は、誰もが知っている身体の部位を表しているにもかかわらず、漢字で書かれると途端に読めなくなってしまう方が多い、まさに「知っているのに読めない漢字」の代表格です。
「踵」という漢字、一体何と読むかご存じでしょうか。足へん(足偏)に「重い」の「重」を組み合わせたこの漢字は、私たちの日常生活に非常に身近な部位を指す言葉です。
この記事では、踵の読み方・意味・例文・部首・画数・書き順について、漢字の成り立ちや語源も交えながら丁寧に解説していきます。踵という漢字への理解を深め、語彙力アップにもぜひお役立てください。
足へんに重(踵)の読み方は「かかと」!まずは結論から
それではまず、足へんに重と書く「踵」の読み方について解説していきます。
結論からお伝えすると、「踵」の読み方は「かかと」です。「かかと」という言葉は日常会話でも頻繁に使われますが、漢字で「踵」と書かれると読めない方がほとんどではないでしょうか。まさに「読めそうで読めない漢字」の典型例といえます。
「かかと」とは、足の裏の後方部分、つまり足の後ろ側にある丸みを帯びた部分のことです。歩行や走行のたびに地面と接触し、体重を支える非常に重要な役割を担っています。医学的には「踵骨(しょうこつ)」とも呼ばれ、足の中でも特に大きな骨のひとつです。
音読みと訓読みの整理
「踵」の読み方を音読みと訓読みに分けて整理してみましょう。
| 読み方の種類 | 読み方 | 備考 |
|---|---|---|
| 訓読み | かかと | 日常的に広く使われる読み方 |
| 音読み | しょう(ショウ) | 医学用語・専門用語で使用される読み方 |
| 訓読み(古語) | きびす | 古典文学や慣用句で使われる読み方 |
日常的には「かかと」という訓読みが最も広く使われています。音読みの「しょう」は「踵骨(しょうこつ)」「踵部(しょうぶ)」など医療・解剖学の分野で登場します。また、古語の「きびす」は現代ではほとんど使われませんが、慣用句の中に今も息づいています。
「かかと」という言葉の語源
「かかと」という言葉の語源は、実は諸説あり、はっきりとした定説があるわけではありません。有力な説のひとつとして、「かか(下下・重なり)」+「と(所・処)」という組み合わせから来ているという説があります。足の最も下の部分、つまり「下の下の場所」という意味合いが込められているとも考えられています。
また、「かがむと(屈む処)」が転じて「かかと」になったという説もあります。しゃがんだときに地面に近い部分であることから、このような語源が生まれたと考えると納得感があります。語源を知ることで、漢字や言葉への理解がより深まるでしょう。
漢字「踵」と「重」の関係
踵という漢字の右側に使われている「重」は、「重い」「重なる」という意味を持つ漢字です。かかとは体の全体重が乗る部位であることから、「重さを受け止める足の部分」というイメージで「重」が組み合わされたという見方があります。
また、形声文字として「重(ショウ)」という音を借りて「踵(しょう)」という読みが生まれたという解釈も有力です。漢字の成り立ちには意味(意符)と音(声符)の両面があり、踵はその両方の要素を持つ興味深い漢字といえます。
踵(かかと)の意味と使い方を詳しく確認
続いては、踵(かかと)の意味と具体的な使い方を確認していきます。
踵とは、足の裏の後端部分、すなわち足の後ろ側にある丸く厚みのある部位のことです。解剖学的には踵骨(しょうこつ・かかとの骨)がこの部位の中心を成しており、アキレス腱が付着する場所でもあります。歩行・走行・ジャンプなどのあらゆる動作において欠かせない役割を果たしています。
踵を使った例文
実際に「踵(かかと)」を使った例文をいくつかご紹介します。漢字表記とひらがな表記の両方で確認してみましょう。
例文1:長時間歩いたせいで、踵にマメができてしまいました。
例文2:このパンプスは踵が高く、長時間履くと疲れてしまいます。
例文3:医師から「踵骨(しょうこつ)に疲労骨折の可能性がある」と診断されました。
例文4:スニーカーの踵部分がすり減ってきたので、新しい靴を購入しました。
例文5:ランニングの際は踵から着地するのではなく、足の前方で着地するフォームが推奨されています。
例文6:彼は踵を返して、来た道を引き返していきました。
日常会話ではひらがなで「かかと」と書くことが一般的ですが、医療文書や文学作品では「踵」と漢字で表記されることもあります。また、「踵を返す」という慣用句も広く使われている表現のひとつです。
「踵を返す」などの慣用句・関連表現
「踵(かかと)」を含む慣用句や関連表現は、日本語の中にいくつか存在します。代表的なものを確認しておきましょう。
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 踵を返す | かかとをかえす | 引き返す・来た方向に向き直る |
| 踵を接して | かかとをせっして | 次々と続いて・間を置かずに |
| きびすを接する | きびすをせっする | 多くの人が続いてやってくる様子 |
| 踵骨骨折 | しょうこつこっせつ | かかとの骨が折れること(医療用語) |
| 踵部痛 | しょうぶつう | かかとの痛み(医療用語) |
「踵を返す」は日常会話でもよく耳にする表現です。物理的に引き返すという意味だけでなく、比喩的に「方針や態度を急に変える」という意味でも使われることがあります。
踵に関連する医学・解剖学用語
踵は医療・スポーツ医学の分野でも頻繁に登場する部位です。関連する専門用語を知っておくと、病院での会話や健康に関する文章を読む際にも役立ちます。
| 用語 | 読み方 | 意味・説明 |
|---|---|---|
| 踵骨 | しょうこつ | かかとを形成する骨。足の骨の中で最も大きい |
| 踵部 | しょうぶ | かかとの部分・踵骨周辺の領域 |
| 踵骨腱 | しょうこつけん | アキレス腱の別称 |
| 踵骨棘 | しょうこつきょく | 踵骨に骨のとげが生じる状態(足底腱膜炎に関連) |
| 踵接地 | かかとせっち | 歩行・走行時に踵から地面に接地すること |
特に「踵骨棘(しょうこつきょく)」や「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」は、かかとの痛みに悩む方の間でよく知られている症状です。スポーツをする方やよく歩く方にとって、踵に関する知識は健康管理の面でも重要といえます。
踵の部首・画数・書き順を徹底解説
続いては、踵の部首・画数・書き順について確認していきます。漢字を正しく書くためには、構造をしっかりと把握しておくことが大切です。
部首について
「踵」の部首は「足(あしへん)」です。足へんは、足・脚に関連する動作や状態を表す漢字に広く用いられる部首です。「跳(とぶ)」「踏(ふむ)」「跡(あと)」「踝(くるぶし)」など、足に関わる漢字の多くが足へんを持っています。
足へんの形は、もともと「足」という漢字そのものが変形して偏(へん)として使われるようになったものです。「足」の字義(字の持つ意味)が「あし・脚部」であることから、足へんを持つ漢字はすべて足や脚に関係する意味を持つといっても過言ではありません。踵も例外ではなく、足の一部である「かかと」を指す漢字として足へんが使われているのは、非常に自然な成り立ちといえます。
画数について
「踵」の総画数は16画です。左側の足へん(7画)と右側の重(9画)を組み合わせた構成となっています。
足へん(足偏):7画
重(右側のパーツ):9画
合計:16画
16画は一般的な漢字の中でもやや画数が多い部類に入ります。しかし、左の足へんと右の重という2つのパーツに分けて覚えることで、格段に書きやすくなります。「重」という漢字は日常的によく使うため、すでに書き方を知っている方も多いでしょう。そこに足へんをつけるだけと考えると、難易度がぐっと下がります。
書き順について
踵の書き順は、左側の足へんを先に書き、次に右側の重を書くというのが基本的な流れです。漢字の書き順の基本原則である「左から右へ」「上から下へ」に従っています。
① 足へんの上部(口の形の部分)を書く
② 足へんの下部(ノの払いと横棒)を書く
③ 右側の「重」を書く(横棒→縦棒→日の部分→下の横棒の順)
書き順を正しく守ることで、文字全体のバランスが整い、読みやすく美しい字を書くことができます。特に漢字検定を受験される方や、手書きの機会が多い方は、正しい書き順を日頃から意識して練習しておくとよいでしょう。
踵(かかと)に似た漢字・間違えやすい漢字との比較
続いては、踵と似た漢字や間違えやすい漢字との比較を確認していきます。
「踵」は足へんを持つ漢字や、「重」を含む漢字と混同されることがあります。似た漢字との違いを意識しておくことで、誤読や誤記を防ぐことができます。
足へんを持つ漢字との比較
足へんを持つ漢字には多くの種類があります。踵と混同しやすいものや、関連性の高いものをまとめて確認しておきましょう。
| 漢字 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 踵(足+重) | かかと・しょう | 足の裏の後端部分(かかと) |
| 踝(足+果) | くるぶし・か | 足首の突き出た骨(くるぶし) |
| 蹠(足+庶) | あしうら・せき | 足の裏全体 |
| 跖(足+石) | あしうら・せき | 足の裏・足底 |
| 踏(足+沓) | ふむ・とう | 足で踏む動作 |
| 跟(足+艮) | かかと・こん | かかと(踵と同義) |
特に注目したいのは「跟(こん)」という漢字です。踵とほぼ同じ「かかと」という意味を持つ漢字ですが、右側のパーツが「艮(こん)」で異なります。日本語ではあまり使われませんが、中国語では「脚跟(jiǎogēn)」という形でかかとを表す際によく使われます。
「重」を含む漢字との違い
「重」という漢字は、様々な漢字の構成要素として使われています。踵以外にも「重」を含む漢字を確認しておきましょう。
重(おもい・かさなる・じゅう)
動(うごく・どう)=力+重(変形)
働(はたらく・どう)=人+動
腫(はれる・しゅ)=月+重
踵(かかと・しょう)=足+重
鍾(あつめる・しょう)=金+重
「腫(はれる)」は医療用語の「腫瘍(しゅよう)」「腫脹(しゅちょう)」などで使われる漢字です。足へんではなく「月(にくづき)」が左側についていることで、踵とは明確に区別されます。形が似ている漢字であっても、部首(へん)の違いに注目することで正確に識別できます。
読み間違いやすいパターンと注意点
「踵」をはじめて見た方が間違えやすい読み方のパターンをいくつかご紹介します。
・「あしじゅう」「あしおも」など、構成要素の訓読みをそのまま当てようとする誤り
・「あしへんに重」を見て「重い足」と意味だけで解釈してしまう誤り
・音読みの「しょう」を知らずに「じゅう」と読んでしまう誤り
・「踝(くるぶし)」と混同して「くるぶし」と読んでしまう誤り
正しくは「かかと」または「しょう」と読みます。漢字の見た目から読み方を推測するのが難しいタイプの漢字であるため、意味と読み方をセットで覚えてしまうのが最も効果的な学習方法といえます。「かかとの漢字=踵」と頭の中でイメージと結びつけておくと、記憶に残りやすくなるでしょう。
踵に関するよくある質問(漢字検定・書き方・使い方)
続いては、踵に関してよく寄せられる質問について確認していきます。
「踵」という漢字は、漢字検定(漢検)の学習をしている方や、医療・スポーツ関連の仕事をされている方からよく質問される漢字のひとつです。代表的な疑問にお答えしていきます。
漢字検定では何級に相当する?
「踵」は常用漢字には含まれておらず、漢字検定では準1級レベルに相当する漢字です。準1級の出題範囲には、日常的には使用頻度が低いものの、専門的な文脈や文学作品に登場する漢字が多く含まれます。
漢検準1級は合格率が10〜20%程度とされており、かなり高い難易度の試験です。踵のような人体に関わる難読漢字は出題されやすいテーマのひとつでもあるため、漢検準1級を目指す方はしっかりと読み方と意味を押さえておきたいところです。
「踵」はひらがなで書いてもよい?
日常生活において「かかと」とひらがなで書くことは、まったく問題ありません。むしろ、日常的な文章やSNS・メッセージのやりとりでは、ひらがな表記のほうが読みやすく一般的です。
漢字で「踵」と書く場面は、医療文書・解剖学の教科書・文学作品・漢字学習の文脈などに限られることが多いでしょう。また、「踵骨(しょうこつ)」「踵部(しょうぶ)」など音読みを使う専門用語の場合は、漢字表記が不可欠です。場面に応じて使い分けることが自然な日本語表現につながります。
「かかと」と「足首」「くるぶし」の違いは?
足に関する漢字・言葉の中で、「かかと(踵)」「足首(あしくび)」「くるぶし(踝)」が混同されることがあります。それぞれが指す部位を整理しておきましょう。
| 言葉 | 漢字表記 | 指す部位 |
|---|---|---|
| かかと | 踵 | 足の裏の後端・踵骨がある部分 |
| くるぶし | 踝 | 足首の内側・外側に突き出た丸い骨 |
| 足首 | 足首 | 脛(すね)と足をつなぐ関節部分全体 |
| 足の裏 | 足裏・蹠 | 足の底面全体(かかとを含む) |
かかと(踵)は足の裏の後端部分のみを指し、足首や足の裏全体とは異なります。これらの言葉を正確に使い分けることで、身体の状態を伝える際により正確なコミュニケーションが取れるようになります。特に医療機関での説明や、スポーツのトレーニングに関する会話では、部位を正確に伝えることが重要です。
まとめ
今回は、足へんに重と書く「踵」という漢字の読み方・意味・例文・部首・画数・書き順について詳しく解説しました。
「踵」の読み方は「かかと」(訓読み)または「しょう」(音読み)です。意味は足の裏の後端部分、すなわちいわゆる「かかと」のことを指し、医学的には踵骨(しょうこつ)とも呼ばれます。部首は「足(あしへん)」で、総画数は16画。書き順は左側の足へんから先に書き、右側の重を後から書く流れになっています。
また、「踵を返す」「踵を接して」といった慣用句にも使われており、日本語の表現を豊かにする上でも覚えておきたい漢字のひとつです。漢字検定では準1級レベルに相当するため、試験勉強中の方にとっても重要な語彙といえます。
日常会話では「かかと」とひらがなで書くことがほとんどですが、漢字「踵」の成り立ちや読み方を知っておくことは、語彙力や漢字力の向上に大きく役立ちます。足へんに重という組み合わせから「かかと=体重を受け止める足の部分」というイメージを持っておくと、記憶にもしっかりと定着するでしょう。
漢字の世界は奥深く、知れば知るほど新たな発見があります。ぜひこれからも気になる漢字の読み方や成り立ちを調べながら、楽しく語彙力を広げていってください。